免疫力の向上が期待できる“ヌルヌル成分”フコイダン

フコイダンは硫酸化多糖体の一種で、モズクや昆布の表面を覆う透明のヌルヌル成分に含まれています。このヌルヌル成分は潮の流れや砂などで茎や葉が痛んだ時に傷から細菌が進入するのを防いだり、乾燥から守り保水力を保つための働きをしています。
フコイダンは、1913年にスウェーデンの学者 Kylin氏によって発見されましたが、近年ではその免疫力を高めたり、抗アレルギー作用効果などに注目が集まり、美容や栄養補給のために世界中で様々な研究が進んでいます。
フコイダンは、血液循環器系改善作用、抗がん・抗転移作用、免疫系改善作用などを有し、生活習慣病の予防に効果を発揮します。特に、生活習慣病の予防を目的とした生理作用が研究により明らかになってきました。

フコイダンによる抗転移作用のメカニズム

増殖→フコイダンが阻害（増殖因子不活化による）

がん細胞が発生すると、初めはゆっくりと増殖を始めます。がん細胞の増殖のメカニズムは、自らが分泌した増殖因子を細胞表面のレセプターというアンテナに接続させることで増殖するというものです。

血管新生→フコイダンが阻害

さらに血管に対し、新生血管誘導因子を分泌します。すると血管から新生血管が伸び、がん細胞に到達します。がん細胞は新生血管から栄養を吸い上げ、急激に成長増殖を始めます。

血管内皮細胞着床→フコイダンが阻害

成長増殖したがん細胞は、血管に侵入し、血流に乗って離れた場所まで移動します。やがてレセプターというアンテナを使って血管内の内皮細胞に接続、着床します。

血管被膜破壊→フコイダンが阻害

血管内皮細胞に着床したがん細胞は血管の保護膜であるコラーゲンを酵素分解し、血管から脱出します。そしてそこを次の巣として再び成長増殖するのです。

フコイダンによる抗アレルギー作用のメカニズム

アレルギーは免疫の過剰反応によって起こる免疫疾患です。
免疫細胞には絶えず体内をパトロールし、異物の取り調べを行うマクロファージと免疫細胞の司令塔であるT細胞と、抗体を生産するB細胞がいます。

マクロファージによる取り調べ

花粉やハウスダストなどのアレルゲンが体内に侵入すると、まずマクロファージが取り調べを行います。

命令伝達物質の分泌→フコイダンが阻害

取り調べの結果、『異物進入』とマクロファージから知らせを受けると、T細胞が命令伝達物質を出してＢB細胞に「抗体をつくれ」と伝えます。

抗体生産

命令伝達物質を受け取ったB細胞はせっせと抗体をつくります。発射された抗体はY字型の矢のような形をしており、肥満細胞にグサグサと刺さります。

アレルゲンの抗体付着→ヒスタミン分泌→フコイダンが阻害

肥満細胞に刺さった抗体はアンテナとなり、これにアレルゲンがくっつくと肥満細胞が刺激されヒスタミンという毒が分泌されます。ヒスタミンは神経を刺激するため、皮膚や目、鼻のかゆみや気管支収縮などといった症状が現れます。これがアレルギーのメカニズムです。

まず、フコイダンは②の命令伝達物質を止めてしまいます。
さらに、④のアレルゲンの抗体付着を阻止します。
肥満細胞に刺さった抗体にフコイダンが先回りして付着するため、アレルゲンは抗体を塞がれてくっつくことができず、結果、ヒスタミンが分泌されません。